【第1部】湿った声を抱えた妻──招かれた友の影に揺れる心
私は 高瀬美和、38歳、主婦。
結婚して十二年。子どもはいない。
夫の出張が増えるにつれ、家の中に沈殿する「静けさ」が、私には息苦しさのように感じられていた。
そんな折、夫の大学時代の友人、**篠原浩司(45歳)**がわが家に泊まることになった。
旧友との再会に喜ぶ夫。その笑顔の背後で、私はなぜか彼の存在にだけ、言いようのない緊張を覚えていた。
夕食の食卓。浩司さんは穏やかに笑い、夫と昔話を交わしていた。
だが私の耳には、皿を受け取るときに指先がわずかに触れる、その微かな熱のほうが強く残った。
——ほんの数秒。けれど、私にはそれが「触れてはいけないもの」に思えた。
キッチンで二人きりになったとき、彼は皿を重ねながら囁いた。
「…美和さん、よくこんなに手際よく動けるね」
ただの褒め言葉。それなのに私は、喉が震え、息が湿った。
その夜から、私は自分の手の甲を見つめる癖がついた。
彼に触れられた場所が、呼吸のたび疼くようになったからだ。
翌朝。夫と並んで食事をしているときも、私は脚の奥に残る熱を意識せずにいられなかった。
コーヒーカップを持ち上げる指が、昨日の余韻を呼び覚ます。
浩司さんがふと視線を寄越す。それだけで胸の奥がきゅっと締まった。
「…お水、もう一杯いい?」
その声を聞いた瞬間、私の身体は勝手に反応してしまった。
膣がきゅっと収縮するのを感じ、背筋を伸ばして誤魔化す。
声が濡れていた。私の中の秘密が、静かに始まりつつあった。
【第2部】湿音の誘惑──舌が描く秘密の螺旋
夜。リビングの灯りを落とし、私は眠るふりをしていた。
夫の寝息が襖の向こうに聞こえる。その境界を越えて、足音が近づく。
胸の鼓動が、眠りを装うには大きすぎる。
「…起きてる?」
耳元にかかる声。返事をする前に、布団が揺れた。
そして、彼の指が私の下着の奥にすでに潜り込んでいた。
「声、出さないで」
その低い囁きに従うしかなかった。
咄嗟に閉じた腿を、撫でる手が少しずつほどいていく。
くちゅ、と湿った音が響いた。
私の身体は、自分でも抑えられないほど濡れていた。
「こんなに…奥まで、知ってしまったよ」
浩司さんの指は、私の膣内を螺旋を描くように緩やかに探る。
未知の感覚に喉から声が漏れる。
「やっ…そこは…っ」
息が震え、声が裏返る。
背中をソファに押しつけられ、片脚を持ち上げられる。
体位が変わるたび、羞恥と快楽が重なり、濡れ音がリズムを刻む。
彼の舌が背骨の際をなぞった瞬間、私はもう、自分の声を制御できなかった。
「…あ、だめっ…ああ…っ」
夫がすぐ隣で眠っているのに、吐息が勝手に零れてしまう。
そして、私の腰は自然に揺れはじめた。
彼の唇と舌に導かれ、騎乗の姿勢に乗せられる。
奥で結合する音が、濡れたリズムとして部屋いっぱいに響いた。
「ほら…もう隠せないだろ」
その言葉が耳に焼きつき、私はすでに抗えない。
【第3部】絶頂に沈む朝──許されない声が疼きを生む
朝が来ても、私はベッドを抜け出せなかった。
太ももの奥がじんじんと熱を帯び、シャワーで洗っても濡れの名残が落ちなかった。
朝食の食卓。夫が新聞を広げている向かいで、私は脚を組み直しながら、昨夜の疼きを必死に隠した。
浩司さんの視線が一瞬だけ私に触れ、すぐに伏せられる。
その一瞬のやり取りだけで、身体の奥がまた疼いてしまう。
——昨夜、最後に囁かれた言葉が、耳の奥で繰り返されていた。
「…もう、戻れないよな」
そう。私はもう戻れない。
抱かれる前に、欲してしまった。
許される前に、許してしまった。
絶頂のあと、ソファに仰向けにされ、彼に見つめられていた時間の長さを、私はずっと身体に抱え続けるのだろう。
声にならなかった「好き」が、濡れとなって残っている。
沈黙の食卓の裏で、私はひとり、疼きの声を抱えながら生きていく。
まとめ──沈黙を破った疼きが私を解き放つ
篠原浩司という男の存在は、私の「妻」という枠を静かに揺らした。
触れてはいけない指先に触れ、濡れてはいけない場所を濡らされ、
私は「隠す自分」と「欲しがる自分」の境界を失った。
絶頂ののち、許されぬ声は沈黙に溶けていく。
けれど、その沈黙こそが私を解き放ち、
これからも疼きは、声なき声として生き続ける。
——禁じられた触れ合いが、私に本当の「欲望の声」を与えたのだ。

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