【第1部】嫉妬を欲する夫と、封じきれなかった記憶
私は三十五歳、子どももいない専業主婦として穏やかな日々を過ごしていた。けれど、この夏、すべてが音を立てて変わり始めた。
きっかけは、夫が放った信じられない言葉だった。
「昔の恋人に会ってみたらどう? 一泊旅行でもしておいで」
耳を疑った。夫は穏やかで怒ったことなど一度もない人だ。嫉妬や束縛から最も遠い、静かな優しさの人──私はそう信じてきた。
だが、あの夜を境にすべては変わった。
数週間前、ワインに酔いながら交わったとき、私はつい口を滑らせてしまったのだ。
「…悠人(ゆうと)のこと、忘れられない。あの人に抱かれた夜が、今でも…」
夫は一瞬黙り込み、次の瞬間、私を押し倒し、これまでにない激しさで貫いてきた。
その夜を境に、夫は私に過去を語らせるようになった。制服のスカートの下をノーパンで歩かされた夜。深夜の公園で声を殺しきれず乱れた記憶。悠人の大きすぎるものに泣きながらも酔いしれていたこと。
私は愚かにも、その全てを夫に話してしまった。
「君は彼に抱かれていたから、あそこが磨かれて、こんなに感じやすいんだ」
夫は私の告白に怒ることなく、むしろ嫉妬を燃料にして情欲を高めていった。私はやっと気づいた。夫は嫉妬するために私の過去を欲しているのだ。嫉妬すればするほど、夫は私を激しく求める。
「もう一度、悠人に会って。僕のために」
夫の声は優しさに包まれながらも、熱に震えていた。私は怖れと期待を抱きながら、その提案を受け入れてしまった。
【第2部】禁断の再会──疼く心と裏切りの予兆
数日後、メールのやり取りを経て、私は十数年ぶりに悠人と再会した。
「変わらないな。いや、前よりずっときれいになった」
彼は昔と変わらない笑顔で私を褒め、私は頬を染めた。
会うつもりだけだったのに、気づけば二人でホテルにいた。
「久しぶりだな。触れてもいい?」
低い声と熱い吐息が耳をかすめた瞬間、膝が震え、身体の奥が勝手に濡れ始めていた。
唇が重なり、忘れていた感覚が一気に蘇る。舌が絡み、胸が揉まれ、あの日々の記憶が洪水のように溢れてきた。
「だめ…声、出ちゃう…」
必死に抑えようとしたのに、背徳の快感は喉を突き破って喘ぎへと変わる。
彼の指が、かつて知り尽くした場所を正確に探り当てる。私は羞恥に震えながらも、あっけなく腰を揺らしてしまった。
「やっぱり…君はここが弱いんだな」
懐かしい囁きに、全身が痙攣するように跳ねた。
初めて夫を裏切ったその夜、私は女としての芯が焼け落ちるほどに乱れた。汗と涙と声を混じらせて果てたとき、私はすでに戻れない場所に踏み込んでいた。
帰宅すると、夫は優しく迎えてくれた。
「どうだった?」
「……複雑」
そう答えるしかなかった私を、夫は穢れを洗うように全身に口づけし、さらに深く抱いた。
その眼差しの奥で燃えている嫉妬の炎に気づいた瞬間、私は戦慄と快感に同時に貫かれた。
【第3部】三人の夜──嫉妬が導いた淫らな解放
数週間後、夫が仕組んだ「一泊旅行」が始まった。相手は悠人。だがそこにはもう一人、悠人の友人・直哉(なおや)がいた。
「今日は特別な夜にしよう」
悠人が告げると、直哉の視線が私を射抜いた。
戸惑う間もなく、二人の手が私を奪い合う。胸を吸われながら脚を開かされ、視線と指と舌に翻弄される。羞恥に震えながらも、身体の奥は熱を止められず、とろとろに濡れてしまった。
「いや…二人同時なんて…見ないで、あぁ…」
抵抗の声はやがて甘い喘ぎへと変わる。二人の体温と力強さが重なり、私は自分が“見せるための女”へと変えられていくのを感じた。
その夜、私の姿は悠人のカメラに収められた。二人に乳房を押しつけられ、喘ぎながら果てる私。毛を剃られ、羞恥に濡れ光るあそこを映されたまま。
帰宅後、私は黙ってカメラを夫に渡した。
夫は驚いた顔をしたが、やがて笑い、写真を食い入るように見つめた。
「三人で…本当に君はすごい女だ」
怒りではなく、興奮と賛美がその声に混じっていた。
その夜、夫は映像の中の私に嫉妬しながらも、目の前の私を何度も抱いた。嫉妬に燃える彼の腕の中で、私はもう抗えない。夫の欲望のために、他人に抱かれ続ける自分を受け入れてしまった。
【まとめ】嫉妬と快楽の果てに見つけたもの
私はただ、正直でありたかった。嘘をつかず、夫の望むものを見せただけだった。だがその正直さが、嫉妬を呼び、欲望を煽り、私を淫らな女へと変えていった。
嫉妬は破壊ではなく燃料となった。夫に抱かれながら他人を思い、他人に抱かれながら夫の眼差しを感じる。矛盾が絡み合い、私は何度でも濡れ、痙攣し、喘いだ。
──あの夏の日々は、もう元には戻せない。
けれど私は今も、夫の嫉妬を糧に、さらに淫らに堕ちていく。
嫉妬されたい。見られたい。欲望に震えたい。
その全てが、女である私の真実となってしまったのだから。

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