【第1部】無邪気な放課後が甘い罠へと変わった瞬間──年上の男たちに囲まれて
私はその頃、看護学科に通う十九歳の大学生だった。アルバイトと講義に追われつつも、恋人の大輝と過ごす時間が何よりの安らぎで、まだ身体を重ねていない関係を「大切に温めている」と信じていた。
そんなある秋の放課後、友人の遥から「彼氏の家に一緒に遊びに行こう」と誘われた。軽い気持ちでついて行った私を待っていたのは、彼女の彼氏と、その大学仲間たち数人。リビングには缶チューハイやお菓子が散らかり、甘いアルコールと煙草の匂いが入り混じる。そこだけ日常から切り取られた異質な熱気が漂っていた。
「君が舞香? 遥から聞いてたよ」
そう声をかけてきたのは、二十二歳の聡という男だった。背が高く、切れ長の瞳でじっと見つめられると逃げ場を失ったような気持ちになる。彼はやたらと距離を詰めてきて、「彼氏より俺の方が似合うんじゃない?」と冗談めかして言った。私は笑って「彼氏がいるから」とかわしたけれど、その視線は執拗に私を追っていた。
次第に部屋は人の出入りでざわめき、気づけば遥も彼氏も席を外し、リビングには私と聡だけが残っていた。静まり返った空気。胸の奥に警鐘が鳴った瞬間、私は立ち上がろうとした。だがその腕を掴まれ、背中はソファに押し倒されていた。
「やめて、私には…」
その言葉を最後まで言い切る前に、体重が肩を押し潰す。抵抗しようと必死に腕を振っても、男の力には敵わなかった。
【第2部】処女だから許して──懇願をかき消す湿った吐息と舌の悪戯
「処女だから、お願い、許して…」
震える声で必死に告げた。愛する大輝のために守りたいその一線。だが聡の表情は嘲るような熱を帯び、「余計に興奮する」と呟きながら私の太腿を広げた。
ショーツを剥ぎ取られ、冷たい空気が秘部を撫でる。その瞬間、羞恥と恐怖で心臓が早鐘を打った。だが彼は迷いなく顔を埋め、湿った舌で押し広げるように舐め上げた。
「やっ…あ、やめて…んっ…」
喉から漏れた声は、理性の拒絶とは裏腹に甘さを帯びていた。膝が勝手に震え、奥に火照りが宿る。恐怖と混乱の中で、身体は否応なく反応してしまう。
「彼氏の名前、心で呼んでるんだろ?」
耳元に落ちた囁きに、全身が凍りつく。私は心の中で必死に大輝の名を叫んでいた。それなのに、舌が秘部を這うたびに「いや…だめ…あぁっ…」と声が零れる。濡れていないはずの場所に、いつの間にか熱い湿り気が広がっていった。
次の瞬間、彼の硬さが押し当てられた。
「やだ…入れないで…!」
祈りも虚しく、強引に奥へと貫かれる。
「っ…あぁ…痛っ…!」
視界が白く弾け、全身が強張る。涙が頬を伝い落ちても、腰を突き上げられるたびに声が裏返った。
「血が出ないんだな。ほんとに初めてか?」
その言葉が心を切り裂いた。羞恥と屈辱に飲み込まれながら、私はただ早く終わってほしいと願うしかなかった。だが彼はわざと奥を抉り、甘い嬌声を引き出すたびに笑みを浮かべた。
「いやっ…あっ…もう…っ」
喘ぎ声が、まるで自分のものではないかのように響いた。
【第3部】隠された余韻──愛する彼に抱かれても消えない影
ようやく解放されたとき、ショーツを震える手で引き上げた。その瞬間、ドアが開き、数人の男たちがぞろぞろと入ってきた。
「やっぱりやれると思ったよ」「賭けに勝ったな」
そんな言葉が耳に突き刺さる。背筋が冷たくなり、視線を逸らしたまま、私は逃げ出すようにその場を去った。羞恥に焼かれ、心は粉々に砕かれていた。
一週間後。私はついに大輝と初めて身体を重ねた。彼の手は優しく、唇は震える私を慰めるように重なった。これこそ望んでいた初体験のはずだった。
「舞香…大事にするよ」
その言葉に涙がこぼれた。だが、彼が囁いた次の一言で胸が裂けた。
「…初めてなのに、血が出ないんだね。」
微笑みを浮かべながらも隠しきれない戸惑い。その瞬間、あの夜の湿った舌、強引な挿入、そして「血が出ない」と嘲る声が蘇った。真実を言えるはずもなく、私はただ彼に抱きすがり、声を殺して泣いた。
その後、妊娠もせず、あの男たちから連絡も来なかった。それが唯一の救いだった。けれど、私の身体には「痛みと快楽が混じり合った最初の記憶」が深く刻まれたまま消えない。
今も恋人に抱かれるたび、心の片隅であの夜の湿った吐息が甦る。愛と恐怖、甘さと屈辱。その矛盾に揺れるたび、私は自分の奥に潜む性欲の形を知ってしまう。
まとめ──大学生の私が抱え続ける秘密と濡れの構造
私の初体験は、望んだものではなかった。守りたかった処女は強引に奪われ、愛する人にさえ真実を言えなかった。だがその夜の記憶は、痛みだけでなく、快楽の芽吹きをも刻み込んでいる。
人は皆、性的な体験を美しい記憶として抱くとは限らない。だが、歪んだ記憶でさえも「濡れの構造」として身体に染みつく。それは消えない影であり、同時に新たな欲望の種でもある。
――これは十九歳の大学生の私が、今もなお抱え続ける「最初の官能の記憶」である。

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