猟奇的な性欲の隣人妻 美咲かんな
猟奇的な性欲の隣人妻 美咲かんな美咲かんな
夫の不在が続く日々、誰にも言えない渇きが胸の奥で膨らんでいく。
ふとした優しさに触れた瞬間、理性はほどけ、心は揺れる──。
『お隣のご夫婦は仲が良さそうで羨ましいな』という一言から始まるこの物語は、
人妻の孤独、欲望、そして人間らしさを繊細に描く濃密なドラマ。
美咲かんなの表情と仕草が、観る者の心に火をつける。
“愛されたい”という切実な想いが、静かにあなたの奥を焦がす。
【第1部】再会の午後──微睡む記憶のなかで
学生時代のアルバイト先で知り合った主人と、私はできちゃった結婚をした。
恋も、結婚も、子育ても──すべてが一本の線でつながっていた。
だからこそ、人生のどこかに「知らない感触」への渇きが潜んでいたのだと思う。
次男が生まれてから入った育児サークル。
そこでは笑顔の奥に、それぞれの孤独を抱えた母たちがいた。
お互いの子どもを通じて仲良くなり、家族ぐるみで集ううちに、
自然と「彼」とも顔見知りになった。
彼は二歳年下、穏やかな声の人だった。
十年以上経った去年の夏。
私は久しぶりに次男を連れて、彼の家を訪ねた。
その日、車が修理中だったため、電車で行くことにした。
駅に着くと、彼が車で迎えに来てくれた。
久しぶりの再会だったけれど、どこにも気まずさはなく、
彼の微笑みは昔と同じやさしさを帯びていた。
そのやさしさの中に、
どこか言葉にならない“熱”を感じたのは、気のせいだったのだろうか。
【第2部】沈黙の車内──触れ合う前の予兆
夕暮れの帰り道。
息子が「泊まりたい」と駄々をこね、
結局そのまま友人宅に残ることになった。
私は彼の車で、家まで送ってもらうことになった。
助手席のシートを直そうとしても、うまく動かない。
彼が路地に車を止めて、
「レバー引いてみて」と言った。
その瞬間、がり、と音を立てて背もたれが倒れ、
私は仰向けに倒れた。
視界の端で、彼の肩が近づいた。
香水ではない、夏の汗と柔軟剤の混じった匂い。
胸の奥がじんわりと熱くなり、呼吸が浅くなる。
何も起きていないのに、
体が“何かを思い出して”しまう。
彼の顔が近づいたとき、私は顔を背けられなかった。
唇が触れる──その一瞬で、
十年分の「良妻」という鎧が、音もなく剥がれ落ちた。
キスは、記憶を失うような感触だった。
柔らかく、そしてどこか切実で。
彼の手が私の頬をなぞり、
呼吸の間に混ざる小さな吐息が、
身体の奥をほどいていく。
「いけない」
心はそう叫んでいたのに、
指先はシートを掴み、脚の奥は微かに震えていた。
抑えた声が漏れそうになる──
それを唇で塞ぐように、彼の舌が絡んできた。
【第3部】揺れる肉体──愛という名の背徳
夜が訪れる頃、
私たちは言葉を持たないまま、
熱に導かれるように身体を重ねた。
誰のものでもない時間。
その短い永遠の中で、
私は初めて、自分の体の奥にある“音”を聴いた。
彼の指先が、呼吸を追い、
私の心臓の鼓動と同じリズムを刻む。
重ねた唇から、知らない声が零れ落ちていく。
それが自分の声だと気づくのに、
少し時間がかかった。
熱が波のように押し寄せ、
世界が遠のく瞬間、
私は彼の名を呼んだ。
その声が震えたのは、
快楽のせいだけではなく、
もう戻れない場所を越えてしまったことを、
どこかで悟っていたからだ。
静寂のあと、
彼の掌が私の頬を撫でた。
「これっきりにしよう」
その言葉が、まるで祈りのように響いた。
車の外では、街灯が雨に滲んでいた。
それが、私の罪を洗い流すようにも、
新しい何かを照らすようにも見えた。
【まとめ】濡れた記憶──そして、女の覚醒
人は、触れられた瞬間に初めて、
自分の“乾いていた部分”を知るのかもしれない。
あの日、
背徳と快楽のあわいで私は目を覚ました。
それは恋でも欲でもなく、
ただ「生きている身体」の記憶。
彼とかわした約束──“これっきりにしよう”。
けれど、指先に残る微かな温度が、
夜になると今も疼く。
もう一度触れたいわけではない。
ただ、あの瞬間に見た自分の姿──
それが、本当の「女」という存在なのかもしれないと、
今でも思うのだ。

コメント