【第1部】三十七歳の妻・遥──閉ざされた欲望が揺らいだ夜
私は真一、四十二歳。
仕事に追われ、帰宅は深夜になることも多く、結婚十年を過ぎてから、夫婦の営みは次第に形ばかりになっていた。
休日も妻に触れることなく過ぎていき、気がつけば「夫」と「妻」という役割だけが私たちを繋いでいた。
遥──三十七歳。
華奢な体に似合わぬほどの豊かな胸、そして母になっていないことが生んだ曲線美を保っている。
彼女の肌は驚くほど白く、胸元に影を落とすたび、私はまだ女としての彼女を奪いきれていないと気づかされる。
だが、その思いは枯れかけた欲望の奥で燻るだけで、口に出すことはなかった。
そんな停滞を揺さぶったのは、ある晩に出かけたスワッピングの集まりだった。
常連の年配の男が、酒に酔った声で耳打ちする。
「知り合いの黒人を紹介しようか? 奥さんなら、一度で虜になる」
不意に告げられたその言葉に、私は胸の奥がざわついた。
横を見ると、遥が笑みを浮かべながらも、頬をわずかに赤らめている。
その仕草に、私は思わず問いかけた。
「……怖くないのか?」
だが返ってきた答えは、私の予想を裏切るものだった。
「優しい人なら……大丈夫かもしれない」
その夜、彼女のスマホには見知らぬ番号が刻まれた。
そして週末、私たちは別のパーティの誘いを断り、その番号の主と会う約束をしてしまった。
私は眠れぬ夜を過ごした。
嫉妬と興奮が入り混じり、胸の奥で燻る熱を抑えられない。
──妻が他の男に抱かれる姿を、私は本当に見たいのだろうか。
その矛盾した問いに答えが出ぬまま、週末は容赦なく近づいてきた。
【第2部】黒い影と溶け合う肉体──ホテルで始まった予兆
その日、遥は鏡の前に立ち、何度も服を着替えていた。
最終的に選んだのは、体に沿うタイトなニットと、膝上までのデニムスカート。
「……どうかな。変じゃない?」
緊張と期待の入り混じった瞳でそう問いかけてくる。
「似合ってるよ」
そう答えながら、私は心臓の鼓動を抑えられなかった。
ホテルのロビーで待っていたのは、背の高い黒人男性──エリック。
白いシャツにジャケットを羽織り、低い声で「はじめまして」と微笑む。
片言の日本語だが、そこに不思議な安心感があった。
部屋に入ると、緊張で笑みを浮かべた遥の手を、彼は迷いなく取った。
そして、何のためらいもなく、その唇に口づけを落とす。
「……んっ」
声を詰まらせた遥は驚きの表情を浮かべ、すぐに視線を伏せた。
私は横で、その光景をただ見つめるしかなかった。
胸の奥は、焦燥と期待で焼けつくように痛む。
ジャケットが落ち、シャツのボタンが外されていく。
遥の白い肌が露わになり、光を吸い込むように輝きを放つ。
胸元に舌が這い、腰の奥へと指が沈む。
「やっ……だめ、あ……」
必死に声を抑えるが、やがて小さな吐息は切れ切れの喘ぎへと変わっていった。
スカートの裾を押し上げられ、下着越しに濡れを探られる。
「やぁ……あっ……だめぇ……」
腰をくねらせながらも、遥は抗うことなくその指を受け入れていく。
私は息を飲んだ。
妻の声が、もう私の知っているものではなくなりつつある。
その変化に、嫉妬と興奮が混じり、目が離せなかった。
【第3部】極限の絶頂と崩れ落ちる夜──人妻が黒に抱かれる瞬間
遥はベッドに押し倒され、M字に脚を開いた。
エリックが身をかがめ、その影が覆いかぶさる。
その瞬間、彼女は唇を震わせ、かすかに囁いた。
「……お願い……奥まで……」
ゆっくりと、遥の身体の奥に沈んでいく。
「……あああっ!」
叫びに近い声が、室内を震わせた。
深い律動が始まる。
遥の脚が強く絡みつき、彼を逃がさぬように締めつける。
「やぁ……だめ……もっと……もっとぉ……!」
吐息と声が重なり、室内は甘い湿り気で満ちていった。
私はベッドの端に座り、全身を震わせながら見つめる。
妻の白い肌に絡む黒い腕、そのコントラストがあまりに鮮烈で、脳裏に焼きついていく。
やがて遥の身体が痙攣し、波のような快楽に飲まれる。
「いやぁ……だめ……でちゃう……!」
濡れはシーツを染め、音が激しく室内を支配する。
「オーケー? まだ?」
エリックの低い声に、遥は涙のにじむ瞳で頷いた。
「……もっと……お願い……」
二度、三度、繰り返される律動。
遥はついに絶頂を越え、全身を痙攣させながら声を張り上げた。
「……あぁぁぁっ!!」
そのとき、私は理解した。
──妻は完全に、あの男の中に堕ちていったのだ。
やがて夜が明ける頃、遥は力尽きるように眠りに落ちた。
私は彼女の髪を撫でながら、胸の奥に渦巻く感情を持て余していた。
嫉妬と興奮、そして説明のつかない安堵。
まとめ──開かれた扉の先に待つもの
その夜、遥はこれまで知らなかった自分の身体と出会った。
黒い影に抱かれ、声を上げ、涙をにじませ、ついには力尽きるまで震え続けた。
一度開いてしまった扉は、二度と閉じられない。
妻の中に刻まれた黒の記憶は、これからも私たちの夜を揺さぶり続けるだろう。
 

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